米国の戦争の脅威が北朝鮮に強迫観念を強いている

2017年4月23日 Russian Today  Op-Ed

https://www.rt.com/op-edge/385762-threat-regime-change-north-korea-us/

 

 ここ数日、トランプ政権は核武装したのけ者の国である北朝鮮に対して脅迫を行い、緊張をエスカレートさせ、東アジアでの潜在的な破局的情勢を作り出している。

 

 ばかげたことに、西側の多くの人々はドナルド・トランプの常軌を逸した軍国主義でなく、北朝鮮指導者の金正日(キム・ジョンイル)の軍国主義による状況について心配をしている。そのような思考は不合理で非歴史的なもので、マスメディアと古き良き時代の黄禍人種差別に深く根ざしている。

 

 朝鮮民主主義人民共和国がこれまで侵略したり爆撃したりした国はひとつもない。一方、米国は数十の国々を侵略し爆撃してきた。その中には、シリア、リビア、イラク、アフガニスタン、ユーゴスラビア、グレナダ、ニカラグア、ベトナム、ラオス、カンボジア、そして、そう朝鮮がある。

 

 米国と同盟国によっての北朝鮮への戦争(19501953年)は、まさに大量虐殺に他ならなかった。すべての大都市が破壊された。少なくとも人口の20%が殺害された。中国とソ連の私心のない支援とともに、並外れた英雄的行動と天才的な創造性を通じてのみ、朝鮮は生き残れた。それ以来、北朝鮮の人々は核の絶滅の脅威のもとで、来る日も来る日も生きてきた。

 

 北朝鮮についての西側の大学の一流の専門家であるブルース・カミングズは言っている。

「北朝鮮は米国の核兵器によって組織的に脅されてきた唯一の国である。これは、韓国に何百もの核兵器が配備された1950年代にさかのぼる。いったいどうしてピョンヤンは核抑止力を得よう努力しないのであろうか。しかし、この重大な背景はアメリカの主流の話の中には出てこない。歴史は、それが頭をもたげ顔面にビンタをくらわせる時に重要なこととなるが、それまでは重要なことではない。」

 

 北朝鮮指導部は、本当は核保有国家にはなりたくないと、しょっちゅう述べている。北朝鮮の要求は朝鮮半島全体の非核化である。しかし、自分たちが核の脅威と共に生活していることを考えると、北朝鮮が[]抑止力を発展させることは決して筋の通らないことではない。

 

 交渉についてはどうなのか。弱い者いじめと脅迫の状況の中でそれらが行われるのでない限り、北朝鮮は喜んで協議をすると一貫して述べてきた。中国は長年そのような協議を促進するため動いてきた。北朝鮮はその[]兵器計画を放棄すべきであるという不合理で偽善的な前提条件を盛り込むことによって、2国間あるいは多国間の協議を不可能にしてきたのは、まさに米国である。

 

 分別のあるどんな人も、核兵器のない朝鮮半島を見ること、核戦争を避けることを望んでいる。この最初の重要なステップは、米国が交渉の前提条件を捨て、攻撃的な姿勢を減らすことである。――少なくとも核兵器を最初に使わない北朝鮮の保証に等価のものを返すことによってである。交渉は多くの問題をカバーする必要があるだろう。それらに含まれるのは、韓国からの米軍の撤退、北朝鮮への核の脅威の解除、そして国の再統一のへのステップである。

 

 これらの問題の解決は、数十年の不信の後に手の届かないものと感じられている。しかし、セリング・ハリソンが彼の権威ある本『韓国の最終盤:統一と米国の撤退の戦術』で書いているように、「もし米国が誠実な仲介者の役割を演じ、ミサイル制限の見返りにその従来からの駐留の脅迫的な側面と北朝鮮がみなしているものを取り除くことに同意するならば、ピョンヤンが核兵器の選択を捨て、意味のある査察体制を許す可能性が現在よりも高くなる。

 

 国際法のもとでは、国は独立と主権の権利がある。つまり、たとえその道が米国の経済的、政治的、文化的そしてイデオロギーの支配の必要性に一致しなくても、自らの道を選ぶ権利がある。朝鮮民主主義人民共和国が包囲国家でなく、社会福祉へより多くの資源をつぎ込み、軍事的な開発をより少なくすることを、あなたは望むのか。いいだろう。そのカギは、戦争、核による全滅そして体制変革の絶えず続く脅威を取り除くことだ。

 

 北朝鮮には普通の人たちが多くいる。彼らは、生活を楽しみ、平和に暮らし、子どもたちを育て、学び、愛し、社会的に交際をし、踊り、歌うなどのことをしたがっている。彼らは現代の西洋人と同じイデオロギーを持ってはいないが、率直に言ってそれは必ずしも悪いことではない。そして、朝鮮民主主義共和国は驚くほどの成功を収めている。

 

 CIA内部の研究は、ほとんどしぶしぶこの政権の様々な業績を認めている。一般的な子ども、そして特に戦争孤児への心のこもったケア、女性の地位の「徹底的な改革」、正真正銘の無料の住宅供給、無料の医療、そして予防医学、一番の先進国に匹敵する幼児死亡率と余命率。

 

 出生時平均寿命は70.4歳だ。病院ベッドの密集度(人口1000人当たりの病院のベッド数)は、13.2で、英国の4倍である。すべての人々が改善された飲料水を利用できる。識字率は100%である。これらの統計は朝鮮民主主義人民共和国の宣伝省からのものだと思いますか。これらの統計はCIA各国要覧からのものである。このような数字を達成できるならば、ほとんどの発展途上国は非常に幸せだろう。

 

 朝鮮の人々を爆撃するのは、無謀で不当なことだろう。すべての当事者は戦争を避けるために動かなければならない。国際社会はほとんど満場一致で、受け入れがたい挑発として朝鮮民主主義人民共和国の核ミサイル実験を非難した。しかしまた、ワシントンのダブルスタンダードを認識するべきだ。

 

 米国宇宙軍の元司令官チャールズ・ホーナー将軍は言っている。「私たちが北朝鮮に『あなた方は恐ろしい人々だ。あなた方は核兵器を開発している』と言うのはちょっと難しい。米国が何千もの核兵器を持っているからだ。」(前掲書 ハリソンの中から引用)

 

 緊張のエスカレーションを止める時だ。そしてすべての当事者が交渉のテーブルにつく時だ。

 

 

カルロス・マルチネスは、ロンドンの政治的活動家、アナリストそして音楽家です。彼は政治的歴史ブログ「未来の創案」を運営し、変革の代理人という名前でヒップ・ホップを制作している。

 

このコラムで述べられた発言、見解、意見は、もっぱら著者のものであり、必ずしもRT(ロシアン・トゥデイ)のものではない。(翻訳:岩間龍男)